共犯(共同正犯・教唆犯・幇助犯)について

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共犯

共犯(共同正犯・教唆犯・幇助犯)について

共犯

共犯とは、広義としては、複数人が同一の犯罪に関与することをいいます。

講学上、重婚罪や賄賂罪などの、初めから複数の行為者を予定して定められている犯罪を「必要的共犯」といい、単独の行為者を想定して定められている犯罪を2人以上の行為者によって実行する場合を「任意的共犯」といいます。
ここでは「任意的共犯」について解説をしています。
※以下、共犯とのみ表記します。


共犯の累計

共犯には、主として、次のものがあります。

共犯の種類
実行犯  → 正犯
共同正犯 → 正犯
教唆犯  → 共犯
幇助犯  → 共犯

犯罪実行の決意に至っていなかったものを、犯罪をそそのかして、決意に至らせるのが「教唆」
犯罪実行の決意に至っているものに、犯罪の手助けをして、実行を容易にさせることが「幇助」


刑法60条(共同正犯)
二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。
刑法61条(教唆)
人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。
2 教唆者を教唆した者についても、前項と同様とする。
刑法62条(幇助)
正犯を幇助した者は、従犯とする。
2 従犯を教唆した者には、従犯の刑を科する。

実行従属性の原則により、正犯者が犯罪の実行に着手しなければ共犯は成立しません。
故意犯処罰の原則により、過失犯を処罰する規定が無い限り、故意が無ければ処罰されません(刑法38条1項)。

幇助は従犯として、正犯の刑から減軽されます。
減軽の内容は、刑法68条に規定されています。

刑法38条(故意)
罪を犯す意思がない行為は、罰しない。ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない。
刑法63条(従犯減軽)
従犯の刑は、正犯の刑を減軽する。



教唆

犯罪をそそのかした者を教唆犯といいます(刑法61条1項)。 方法は問わず、犯行の方法や手口の詳細を教えて犯罪の決意をさせることです。

教唆の構成要件

教唆罪の成立要件は以下のとおりです。

    教唆罪の成立要件
  1. 教唆行為があること
  2. 教唆の意思・故意があること
  3. 正犯者の実行行為

正犯が実行しない場合は教唆犯は成立しません。
なお、正犯者の刑事責任は問いませんので、14歳未満の刑事未成年者に犯罪行為をそそのかした場合でも教唆犯は成立します。




幇助

実行犯に,一定の手伝い,手助けした者を幇助犯といいます(刑法62条1項)。
・傷害や殺人を行う正犯者に凶器を調達して渡した
・住居侵入や窃盗をする正犯者のために、解錠や見張りを行った

幇助の構成要件

幇助罪の成立要件は以下のとおりです。

    幇助罪の成立要件
  1. 幇助行為があること
  2. 幇助の意思・故意があること
  3. 正犯者の実行行為
  4. 幇助の因果関係
  5. ※手助けが正犯の実行に役立った(容易にした)場合でないと成立しません
    (※最高裁昭和24年10月1日)







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