相続人による使い込み(着服・横領)

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相続人による使い込み(着服・横領)

相続人による使い込み(着服・横領)

お金の着服・横領

相続にかかる財産(遺産)について、共同相続人のうち、被相続人と一緒に暮らしている者が、預かって管理している預金その他の財産について、相続開始前後における着服・横領(無断での預金の引き出しや使い込み、等)している(していた)という相談が多くあります。

相続発生後、かなり期間が経過してしまってからの発覚という場合も多くあります。

委任を受けて預かっている財産の使い込みが「横領」、何らの権限なく無断で盗み出した場合は「窃盗」となります。

被相続人の財産に関する横領や窃盗の場合、相続開始前(他界する前)は、その相続人が配偶者・直系血族、および同居の親族の場合には、親族間相盗例(刑法第244条第1項)の定めにより刑が免除されます。

配偶者や直系血族以外の別居親族による横領や窃盗については、刑法第244条第2項により親告罪となり、告訴することによって刑事事件として捜査をしてもらうことが出来ます。

なお、配偶者・直系血族、および同居の親族の場合であっても、後見人に就任していた場合には、親族相盗例の適用はなく、業務上横領罪になります。

後見人は、一般に、親族の他、弁護士、司法書士、行政書士、社会福祉士、などが職業後見人として就任している場合も多くあります。

公訴時効は、横領罪が5年、業務上横領罪と窃盗罪が7年です。

なお、公訴時効の期間内であっても、直接の被害者である被相続人が他界しているために、贈与を受けたものか、もしくは依頼されて、ないし承諾を受けて預金を引き出したのか、それとも無断で盗んだり使い込みをしたということのか、等に関して、客観的な立証が困難である場合も多くあります。


遺言書の偽造、詐欺や強迫による遺言、または遺言の妨害

なお、詐欺や強迫によって真意に反する遺言書を書かせたり、または遺言することを妨害した場合、脅迫罪や強要罪は親族相盗例の適用がありませんので刑事告発出来る余地があります。

また、遺言書を偽造した場合、有印私文書偽造罪や有印偽造私文書行使罪で刑事告発することが可能です。

詐欺や強迫によって遺言させ、または、遺言を妨害、もしくは遺言書を偽造等した者は、相続欠格となり、相続人の資格を失います。
ただし、相続欠格であることの証明資料としては、刑事事件で有罪認定を受けるか、民事訴訟で判決を得る必要があります。

なお、刑事事件としての立証が困難な場合、および、親族間相盗例に該当して刑事処罰を求められない事案の場合であっても、弁護士に依頼をして「遺産分割協議」の調停申立てや「不当利得返還請求」や「相続権不存在確認請求」の訴訟を提起をするなどによって、民事上の被害回復を図るこが出来ます。







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