告訴・告発の方法

Site map

メニュー

告訴・告発の方法

告訴・告発の方法

告訴・告発の方法は、検察官または警察・司法警察員に対して、書面または口頭で行なうことになっています(刑事訴訟法241条1項)。
※司法警察員とは、巡査部長以上の階級の警察官や労働基準監督官のことをいいます。
条文上は、口頭でも可能であることになっていますが、構成要件(犯罪の成立要件)を満たすには、具体的な犯罪の事実や被害の内容などの詳細に関する説明が必要となりますし、手続きの明確性という意味でも、書面であることが望ましく、警察当局においても、事実上、書面による告訴・告発を求められます。


告訴状・告発状の提出先

一般的な刑事事件に関する告訴状・告発状については、警察署に対して提出をします。
警察は捜査のための人員を多く抱え、機動力を有する「警察署」への提出が最適です。
なお、警察では、警察署ごとに土地管轄というものが決まっており、大半の場合、事件が当該警察署の管轄区域外であると、受理を拒否されます。
本来、内部規律によれば、告訴・告発を受けた司法警察員は、管轄区域外の事件であるかどうかを問わず、受理しなければならないとされています(犯罪捜査規範第63条)。
しかしながら、当該警察署の管轄区域内で無いと適切な捜査が見込めませんし、告訴は、事情説明を受けた警察署でおこなうことが望ましいとされており、告訴後においても、必要に応じて、被害者からの事情の説明を聞く必要が生じることもありますので、原則として、出来る限りは、管轄の警察署刑事課告訴係に告訴状を提出された方が良いということになります。
※交番では受け付けてもらえません。

独占禁止法違反、関税法違反、等、法律で告発先が検察官に特定されている事件については、検察庁に対して提出をします。
また、政治家や官僚に関する公職選挙法違反や贈収賄事件、事件関係者に検察官・警察官がいる事件、高度な専門知識が必要となる複雑な事件、等については、検察庁に対して提出する方が良いです。

労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、じん肺法、家内労働法、賃金の支払の確保等に関する法律その他の、労働基準関係法令に関する事件については、労働基準監督署に対して提出をします。


管轄


告訴状・告発状の受理

告訴・告発については、刑事訴訟法上、受理する義務は定められておりません。
法律ではありませんが、内部規則である犯罪捜査規範63条では、告訴・告発は、受理しなければならないと定められています。
また、警察官職務執行法8条において、警察官は、刑事訴訟その他に関する法令及び警察の規則による職権職務を遂行すべきものとされています。
そのため、正当な理由が無い限り、検察官や司法警察員は、告訴・告発を受理する義務を負うという裁判例もあります。


東京高等裁判所 昭和56年5月20日 判決
『記載事実が不明確なもの、記載事実が特定されないもの、記載内容から犯罪が成立しないことが明白なもの、事件に公訴時効が成立しているもの等でない限り、検察官・司法警察員は告訴・告発を受理する義務を負う』

しかしながら、実際には、警察署は、基本的に、告訴・告発に対して積極的では無く、告訴状や告発状を不受理・受領拒否されることが沢山あります。


告訴・告発に伴う効果(義務)

告訴を受理すると、警察や検察には、実に様々な義務が生じます。
司法警察員なる警察官は、告訴・告発を受けたときは、告訴調書もしくは告発調書を作らなければなりません(刑事訴訟法241条2項、犯罪捜査規範64条)。
また、告訴・告発を受けた捜査機関は、捜査を尽くす義務を負います(警察官職務執行法や刑事訴訟法242条、犯罪捜査規範63条、刑事訴訟法189条2項等)。
そして、捜査後速やかに、これに関する書類及び証拠物を検察官に送付(書類送検)しなければなりません(刑訴法242条)。

捜査においては、様々な証拠の収集や調書の作成など、多数の人員や膨大な時間を費やすことになりますが、捜査機関は、常時多数の事件を抱えており、捜査に投入できる人員や時間も限られていますので、どうしても、起訴に至る可能性が高いこと、および、それ相当の処罰が下されることが見込まれること、等が、どうしても、受理する際の判断材料として優先されます。

一方、告訴・告発の大半は、経済的被害の回復を目的としていたり、示談交渉を有利に進めるための手段として利用されることが多く、告訴後に被害の賠償や示談成立によって告訴が取り下げられることも珍しくありません。
そうなると、結果として、単なる「民事の道具に利用されただけ」ということになってしまい、「民事不介入の原則」に反しますので、捜査機関は、非常に慎重になります。
また、証拠が少なかったり事件が軽微であったりすると、警察における捜査がなかなか進まなかったり、捜査後において、嫌疑不十分や情状酌量などの事情によって起訴されないということも多くあります。
そのような事情によって、多大な時間や多数の人員を動員しても、捜査が無駄になることが多いことも、警察が、告訴を受理したがらない大きな要因となっています。


受理してもらうために

告訴状や告発状を受理してもらうための方法・工夫としては、以下のようなものがあります。

警察署への事前相談を活用する
事前相談をすることで、告訴するために必要な問題点、収集すべき証拠など、告訴のために準備すべき項目の目安が分かり、スムーズな受理に繋げることが出来ます。
複数の被害者がいる場合には、出来る限り一緒に行う
犯罪や被害の規模が大きい方が、より公益性が高く、受理され易くなります。
示談が不可能であることを伝える
民事的な解決の余地があると思われると、刑事事件としての取扱いに消極的になります。
示談などの民事的な解決が不可能で、途中で取下げになる可能性が少ないと判断されると、受理され易くなります。
相談や告訴状提出時の会話を全て録音する
どうしても受理してもらえない場合、不受理された際の一連の会話録音しておくと、警察署長や監察、検察への「不受理」の証拠資料として提出することで、受理してもらいやすくなり、また、受理させるための「切り札」になります。
マスコミなどへのプレスリリースを行う
社会的な注目や影響が大きいことも、受理するための大きな判断材料となります。


告訴・告発を受理してもらえない場合(苦情の申出)

正当な理由なく、告訴状を受理してもらえない場合には、警視庁や各道府県の警察署に設置されている相談窓口や監察官室への相談や苦情申し入れ、または公安委員会による苦情申出という方法があります。


■監察官への苦情申出
監察官とは、警察庁、警視庁および各道府県警察本部に常設され、警察や警察官の不祥事や服務規定違反などに対する調査や質疑、表彰、取り締まりや監視、および監査業務に携わる、独立した機関です。


■公安委員会への苦情申出制度
公安委員会では、警察法79条の規定に基づいて、警視庁職員の職務執行についての苦情の申出を受け付けています。
この制度の対象となる苦情は、以下の2点です。


明らかに警察の任務とはいえない事項に関する申出や申出者本人と直接関係のない一般論として申し出られた苦情などは、この制度の対象にはなりません。

様式についての定めはありませんが、記載必要項目は、以下のとおりです。
1.氏名、住所及び電話番号
2.住所以外の連絡先へ処理結果の通知を希望する場合は、当該連絡先の名称、住所及び電話番号
3.苦情申出の原因となった警察職員の職務執行の日時及び場所並びに当該職務執行に係る警察職員の執務の態様その他の事案の概要
4.苦情申出の原因となった警察職員の職務執行により申出者が受けた具体的な不利益の内容又は当該職務執行に係る警察職員の執務の態様に対する不満の内容


提出(郵送)先 ※東京の場合
〒100-8929
東京都千代田区霞が関2-1-1
東京都公安委員会




事務所概要