公訴時効期間

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公訴時効

公訴時効とは

公訴時効とは、犯罪が終わった時から一定期間を過ぎると犯人を処罰することができなくなる(検察官が起訴することが出来なくなる)という定めのことをいいます。

公訴時効と、告訴することの出来る期間=「告訴期間」とは別のものです。
告訴期間は、公訴時効にかかる前であれば可能ですが、通常、告訴が受理された後に捜査に着手し、事件記録を作成して検察庁に送致されてから起訴するかどうかの判断がなされるという流れになりますので、公訴時効よりもさらに期間的な余裕が必要になります。
ちなみに、名誉毀損や過失傷害などの「親告罪」の場合は告訴期間が半年となっており、その期間内しか告訴することが出来ません。


公訴時効期間

公訴時効の期間は、犯罪ごとに、刑事訴訟法に期間が規定されています。

主要な公訴時効期間は下記の表のとおりです。


罪名公訴時効最高刑
殺人罪(199条)期間制限なし死刑
強盗殺人罪期間制限なし死刑
現住建造物等放火罪(108条)25年死刑
窃盗罪(235条)7年10年以下の懲役
強盗罪(236条)10年5年以上の有期懲役
傷害罪(204条)10年15年以下の懲役
傷害致死罪(205条)20年3年以上の有期懲役
暴行罪(208条)3年2年以下の懲役
過失傷害罪(209条)3年30万円以下の罰金
器物損壊罪(261条)3年3年以下の懲役
脅迫罪(222条)3年2年以下の懲役
強要罪(223条)3年3年以下の懲役
名誉毀損罪(230条)3年3年以下の懲役
侮辱罪(231条)1年拘留または科料
信用毀損罪(233条)3年3年以下の懲役
偽計業務妨害罪(233条)3年3年以下の懲役
威力業務妨害罪(234条)3年3年以下の懲役
恐喝罪(249条)7年10年以下の懲役
業務上過失致死傷罪(211条)10年5年以下の懲役
詐欺罪(246条)7年10年以下の懲役
横領罪(252条)5年5年以下の懲役
業務上横領罪(253条)7年10年以下の懲役
背任罪(247条)5年5年以下の懲役
特別背任罪(会社法 第960条)7年10年以下の懲役
私文書偽造罪(159条)
偽造私文書等行使罪(161条)
5年5年以下の懲役
公文書偽造罪(155条)
虚偽公文書作成罪(156条)
偽造公文書行使罪(158条)
7年10年以下の懲役
強制性交罪(177条)
※旧:強姦罪
10年5年以上の有期懲役
強制性交致傷罪(181条)
※旧:強姦致死傷罪
15年無期懲役
強制性交致死罪(181条)
※旧:強姦致死傷罪
30年無期懲役
強制わいせつ罪(176条)7年10年以下の懲役
強制わいせつ致傷罪(181条)15年無期懲役
強制わいせつ致死罪(181条)30年無期懲役
住居侵入罪(130条)3年3年以下の懲役
虚偽告訴罪(172条)7年10年以下の懲役
自動車運転過失致傷罪5年7年以下の懲役・禁固
自動車運転過失致死罪10年7年以下の懲役・禁固
危険運転致傷罪10年15年以下の懲役
危険運転致死罪20年1年以上の有期懲役

告訴時効期間の規定

公訴時効の期間は、その犯罪の法定刑の重さにより定められています。


刑事訴訟法
第250条時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの(死刑に当たるものを除く。)については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。
1無期の懲役又は禁錮に当たる罪については30年
2長期20年の懲役又は禁錮に当たる罪については20年
3前二号に掲げる罪以外の罪については10年
2号時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの以外の罪については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。
1死刑に当たる罪については25年
2無期の懲役又は禁錮に当たる罪については15年
3長期15年以上の懲役又は禁錮に当たる罪については十年
4長期15年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については七年
5長期10年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については五年
6長期5年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪については3年
7拘留又は科料に当たる罪については1年
第251条二以上の主刑を併科し、又は二以上の主刑中その一を科すべき罪については、その重い刑に従つて、前条の規定を適用する。
第252条刑法 により刑を加重し、又は減軽すべき場合には、加重し、又は減軽しない刑に従つて、第250条の規定を適用する。


公訴時効の起算点

公訴時効の起算点は、原則として犯罪行為が終わった時から進行します。

公訴時効の期間が経過する前に検察官が起訴を行わなければ、時効経過によって刑事処罰を求めることは出来なくなります。

公訴の提起(起訴)しない限り、告訴状や告発状の提出・受理や被疑者の身柄を確保(逮捕)だけでは、公訴時効は停止しません。

刑事訴訟法第253条
時効は、犯罪行為が終った時から進行する。
2 共犯の場合には、最終の行為が終つた時から、すべての共犯に対して時効の期間を起算する。
刑事訴訟法第254条
時効は、当該事件についてした公訴の提起によってその進行を停止し、管轄違又は公訴棄却の裁判が確定した時からその進行を始める。
2 共犯の一人に対してした公訴の提起による時効の停止は、他の共犯に対してその効力を有する。この場合において、停止した時効は、当該事件についてした裁判が確定した時からその進行を始める。


犯罪行為が終了した時点

犯罪の終了時期については、「即成犯・状態犯・継続犯」の3つに区別されます。

即成犯
構成要件的結果の発生によって犯罪が終了するもの
法益侵害の状態は終了、または、行為者が関与せずに継続する
【※】殺人罪、放火罪、等
「傷害致死罪」などの結果犯の場合には、被害者の死亡などの結果が生じた時点から時効が進行します。
  
状態犯
構成要件的結果の発生によって犯罪が終了するが、その後も行為者の関与で法益侵害の状態が続くもの
【※】窃盗罪、傷害罪、詐欺罪、重婚罪、等
  
継続犯
構成要件的結果の発生によって犯罪が既遂に達した後も、その結果である法益侵害状態の継続している間、犯罪が継続的に成立するもの
【※】監禁罪、不退去罪、凶器準備集合罪等罪、薬物等不法所持罪、等
  

公訴時効の停止

被疑者が国外にいる場合または犯人が逃げ隠れているため、有効に起訴状の謄本の送達もしくは略式命令の告知ができなかった場合は、国外にいる期間又は逃げ隠れている期間について公訴時効を停止する(刑事訴訟法第255条)。という定めがありますが、この規定は、事実上は国外逃亡の場合にのみの適用という運用がなされているそうです。


なお、原則として、被告人に対して2ヶ月以内に起訴状を送達しなければなりませんが、 起訴状謄本が法定期間内に送達されなかった場合でも、 「検察官が訴追意思を明示している以上、可罰性の減少や証拠の散逸は阻止されている」として、 公訴時効の停止を認めた判例があります(最高裁決定昭和55年5月12日)。

公訴時効期間を定めている根拠については、
(1)実体的な刑罰権が消滅することによるとする説(実体法説)
(2)証拠の散逸など訴訟手続上の考慮に基づくとする説(訴訟法説)
などがあります。





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